2009年10月10日

芸者―ライザと先斗町の女たち

アメリカ人の女性文化人類学者が書いた、日本の芸者についての本です。タイトルに先斗町と書いてありますが、東京の花柳界や熱海の温泉地の芸者さんについても取り上げています。

内容は「芸者」というものの、その社会的意義・存在価値といったものについて考察するというものです。この手の本には割と定番の、花街の行事やしきたり、服飾文化などについてはほとんど書かれていませんので、そういうことを知りたい人は他の本を。

著者自身三味線をたしなみ、「市菊」の名で芸妓として先斗町のお座敷に出、そうした体験を通して書かれたこの本は、外部の人間が書いた物とも内部の人間が書いた物とも趣の異なる、なかなか興味深い内容です。

時代的には昭和40年代くらいの花柳界の様子になるかと思いますが、エピソードにはそれほど今との違いを感じません。花街に馴染みのない女の子が憧れから芸者になりたいと思い、実際になる人・ならない人両方の姿が描かれていたり、昔ながらのおねえさんが今時の若い芸者の姿を嘆いたり‥‥。

学者さんの書いた本と言っても、学術書のような固い内容ではなく読みやすい文章なので、おもしろく読めると思います。



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和のシンプル生活

こちらでも紹介した「知って得する和のおけいこ」と同じ、森荷葉さんの本です。生活の中に「和」を取り入れていくことの楽しさ、実際の取り入れ方が紹介されています。

筆者自身も書いていますが、「おけいこ」に比べるとこちらはテンションも落ち着いていて、ハウツーものっぽさが抜けています。出版年が「おけいこ」は2000年で「生活」は2005年ですので、筆者自身にもいろいろと変化が現れているようです。

個人的には、この本のすべてをまねしようとは思わず、いいなと思ったできそうなことを、ちょこっとでもまねできたら楽しいかも、てなくらいに(結局気分だけ?)ゆるーく読めばいいんじゃないかなと思います。実際、そう言う生活を想像するだけでも楽しいですし、それがちょっとでも現実にできたらうれしいですもんね。

和の文化についてやっていくと、やはり京都、そして花街に行き着くようで、先に紹介した「おけいこ」とこの「生活」、いずれにもその話題が登場します。花街への興味関心から和の文化に惹かれていく人もいれば、その逆も然り。「日本の伝統文化」はどこまでも奥が深いです。



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京の花街「輪違屋」物語

京の花街で唯一「太夫」が現役で存在する島原で、今もお茶屋営業を行っている「輪違屋」当主による本です。

島原と言えば、旅行雑誌などの紹介でも歴史的な遺構として紹介されるばかりで、太夫も観光用の形ばかりの存在、あたかも過去の花街というイメージが強い街ですが、ちゃんと今もお客さんがお座敷に出入りし、太夫による接客がなされているんですね。この本には、そんな島原の今の姿が書かれています。

もちろん島原の歴史、太夫や禿についてなど、島原に関する基本的な知識も盛り込まれています。決して本全体の量は多くないですし、文体も読み安くさらっと読めてしまうのですが、内容はとても充実していて島原を知る上でのよい教科書と言えるのではないでしょうか。

何より興味深いのは、この本が男性の手によるものであることですね。花街内の人による本というのは、(元)舞妓や芸妓、お茶屋の女将、と言った女性によって書かれたものが多いです。これは花街の主役が女性であり、花街に占める人口比率から行っても当然のことかと思います。そんな中でのこの本。島原という他の花街とは違った街を、さらにその内部にいる男性の視点で書かれているというところが、他の花街の本とはまたひと味違った内容にしている部分かなと思います。このご主人は輪違屋に生まれ育ったわけですが、そうした子供の頃の島原・輪違屋の様子も書かれています。このあたりも非常に興味深い内容です。

島原や太夫については、他の花街や芸舞妓に比べてまとまった本がなかなかありません。今まで漠然としたイメージばかりで、謎の多かった島原という街ですが、これはその内側を垣間見ることができる貴重な1冊ではないかと思います。



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タグ:島原
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知って得する和のおけいこ

タイトルどおり、「和のおけいこ」に関する入門書です。

定番のお茶やお花、踊りは言うに及ばず、様々な和楽器、書画、香、句、着付け、日本刺繍と、実に多岐にわたる「和」に関係するお稽古を紹介しています。

しかもすべて、筆者自身の実体験が伴っているのがすごいところ。和のお稽古に憧れつつも手を出せないでいる初心者に向けて、広く浅くわかりやすく、その世界の入り口に誘ってくれる本です。

本当に広く浅く、入門の入門という内容なので、より詳しく知りたいという方は、各々興味のあるジャンルの本を読めばいいのかなと思います。

にしても、和にかかわるお稽古ってこんなにたくさんあるんだ〜ということに、改めて驚かされますね。後半は、そうして身につけた「和」のたしなみを実生活にどのように取り入れ楽しむかという内容になっています。単にお稽古しただけで終わらせず、生活の中に取り入れていくことの楽しさ、お稽古することによって身につく「和の文化」が生活に与える潤いといったことが語られています。

「和文化体験実践編」として、森さん流京都旅行レシピも紹介されていますので、次回の京都旅行の参考にしてみてもいいかもしれませんね。(完全にまねするのは大変そうですが(笑))



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