2013年11月10日

陽炎(かぎろひ) 櫻・京・太夫―榎本敏雄写真集

ハードカバー、全編モノクロの重厚な写真集です。タイトルにあるとおり、テーマは「桜」と「京の街」、そして「嶋原太夫」の三部構成。

桜と京の街の写真は、1980年代から2000年代まで幅広い年代の写真が掲載されていますが、嶋原と太夫に関してはほぼ1980年代前半に集中しています。

メインでモデルになっている太夫は「高砂太夫」。そして今も現役の「花扇太夫」の姿もあります。髪結いや化粧、禿を連れて大門の前に立つ姿や、始業式当日の歌舞練場の風景など、わずか28枚の写真ではありますが、今は歌舞練場もなくなり花街としてはほとんど機能していない嶋原が、わずかにまだその機能を保っていた頃の様子を垣間見ることができます。

紅白幕と、「始業式嶋原お茶屋業組合」の看板が掛かった歌舞練場前に立つ花扇太夫の姿には、その美しさに引き込まれるとともに、何とも言えない感慨を覚えます。

資料的にはカラーで見てみたい気持ちもありますが、モノクロだからこそ感じることのできる空気というものもあるのかなと。「陰翳礼賛」の世界そのままのような作品は、嶋原という独特な場所の不思議な魅力を伝えているような気がします。




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タグ:島原
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