2010年03月10日

祇園 女の王国―紅殻格子のうちとそと

祇園新橋にある甘味処「ぎをん小森」。こちらのお店が元はお茶屋さんの建物というのは、ガイドブックなどの紹介で皆さんよく知るところかと思います。その小森が、祇園のお茶屋「小森」であった頃を、その女将の小森友恵さんを中心に書かれたノンフィクションです。

友恵さん本人についてはもちろん、芸舞妓、お客さん、お茶屋の人々、そのほか花街に携わる様々な人々のエピソードが、小森や友恵さんとの関係を通じて紹介されていきます。そこからは、なかなかわかりにくい花街のしくみや「お茶屋」の役割、芸舞妓の生活やお茶屋との関係、また時代とともに変わりゆく花街の様子など、「一見さんお断り」の言葉に代表される独特の世界の一端をうかがうことが出来ます。

花街に関する予備知識が特になくても、読みやすくおもしろい内容の本です。実際に「ぎをん小森」に行くのなら、ぜひ併せて読んでみてはいかがでしょう。

なお書かれている時代は、小森創生期の戦中・戦後あたりからで、「現在」として書かれているのがだいたい1980年代。当時の舞妓さんの名前もそのまま登場するので、その頃の写真集を併せて見るとまたおもしろいのではないでしょうか。

※ブログ内にある関連写真集の記事はトラックバックを参照してください。



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2009年12月06日

京の花街 祇園

京都の花街の中でも最もその名を知られる、祇園甲部を取り上げた本です。

磯田多佳女に関する著作で知られる杉田博明さんの文章と、舞妓さん写真集で知られる溝縁ひろしさんの写真で、目にも楽しくまた読み応えたっぷりの一冊になっています。

※分類上「京都花街の本」にしましたが、「舞妓さん写真集」にいれるか迷うくらい、写真も多い本です。

四季の風景・行事に加え、その歴史、しきたり、裏方として街を支える人々など、様々な角度から花街祇園が紹介されています。祇園に関する知識は、この一冊からでもかなり得られるのではないでしょうか。

内容の充実度に比して、お値段は意外とお手頃。写真がいっぱい見られて、祇園の歴史や文化についてもわかるお手頃な本はないかな〜という欲張り(笑)な方には、ぜひおすすめしたい1冊です。



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2009年11月02日

すっぴん芸妓―京都・祗園のうっかり日記

祇園甲部の現役芸妓、小喜美さんの本です。タイガースファンの芸妓さんと言えばお分かりになる方もいらっしゃるかも?

こちらの市まめさんの本が、舞妓さんや花街文化についての紹介・案内本だとすれば、こちらは芸妓として祇園に生きる女性の日常がつづられた本。「祇園の芸妓についての本」ではなく、あくまでも「芸妓の小喜美さんが書いた本」です。

いかにも優等生的な舞妓像を思わせる市まめさんの本とは趣が異なり、タイトル通り「すっぴん」の芸妓さんの日常が、京都の美しい四季や祇園町の折々の行事とともに、気取らない文体で綴られています。「生きた伝統工芸品」の祇園の芸妓さんが、ちょっと身近に感じられるかもしれません。あ、一応断っておきますが、お下品な暴露本的内容を期待しても無駄ですよ(笑)

読んでいると、無性に京都に行きたくなってきます。小喜美さんと同じところを歩いたり、お店に立ち寄ったり、自転車に乗ったりしてみたくなります。京都の魅力とともに、普通の花街紹介本では、絶対に知ることのできない芸妓さんの姿を感じることができる1冊です。

 とにかく肩肘張らず、気軽に楽しく読める本です。息抜きに、京都が恋しくなったときに、ちょっと手にとって読んでみてはいかがでしょう。



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2009年10月10日

京の花街「輪違屋」物語

京の花街で唯一「太夫」が現役で存在する島原で、今もお茶屋営業を行っている「輪違屋」当主による本です。

島原と言えば、旅行雑誌などの紹介でも歴史的な遺構として紹介されるばかりで、太夫も観光用の形ばかりの存在、あたかも過去の花街というイメージが強い街ですが、ちゃんと今もお客さんがお座敷に出入りし、太夫による接客がなされているんですね。この本には、そんな島原の今の姿が書かれています。

もちろん島原の歴史、太夫や禿についてなど、島原に関する基本的な知識も盛り込まれています。決して本全体の量は多くないですし、文体も読み安くさらっと読めてしまうのですが、内容はとても充実していて島原を知る上でのよい教科書と言えるのではないでしょうか。

何より興味深いのは、この本が男性の手によるものであることですね。花街内の人による本というのは、(元)舞妓や芸妓、お茶屋の女将、と言った女性によって書かれたものが多いです。これは花街の主役が女性であり、花街に占める人口比率から行っても当然のことかと思います。そんな中でのこの本。島原という他の花街とは違った街を、さらにその内部にいる男性の視点で書かれているというところが、他の花街の本とはまたひと味違った内容にしている部分かなと思います。このご主人は輪違屋に生まれ育ったわけですが、そうした子供の頃の島原・輪違屋の様子も書かれています。このあたりも非常に興味深い内容です。

島原や太夫については、他の花街や芸舞妓に比べてまとまった本がなかなかありません。今まで漠然としたイメージばかりで、謎の多かった島原という街ですが、これはその内側を垣間見ることができる貴重な1冊ではないかと思います。



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2009年09月27日

舞妓のお作法

上七軒の現役舞妓さん(出版当時)市まめさんが、舞妓さんについて教えてくれます。

舞妓さんになるまで、仕込みさん時代や舞妓さんになってからの日々の生活、一日のタイムテーブル、ファッションやお化粧、お座敷での様子などなど‥‥。すべて語り口調で、各パートがほぼ見開きで完結、写真もたくさんでさらっと読めてしまいます。

一つ一つのエピソードがあまり掘り下げられていないので、ある程度予備知識のある人には正直物足りないかもしれませんが、舞妓さんって何?何をする人?どんなお仕事してるの?といったことがまったくわからない人には、少し舞妓さんというものがイメージしやすくなるかもしれませんね。

内容のボリューム、写真やイラストの入れ方から見ても「(本物の)舞妓さんになりたい!」という年齢層の方々向きの本かな、という印象です。




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タグ:上七軒
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