2011年07月09日

芸妓 菊乃のかわいい奈良

舞妓さんと言えば京都ですが、実は奈良にも花街があり、舞妓さんがいます。こちらの本はその奈良で舞妓になり、今は芸妓さんとして活躍中の菊乃さんが案内する奈良ガイドブックです。

「かわいいもん」「おいしいもん」「ありがたいもん」「うつくしいもん」「おとまりどころ」と5つのカテゴリーで、ステキなお店やおいしいお食事処、定番の神社仏閣や自然の風景が美しいスポットなど、奈良の見所を地元の人ならではの目線で紹介しています。

一つのスポットについて、すべて見開き2ページで完結。その場所その場所の菊乃さん自身の楽しみ方や、「好き」が語られていて、短い中にもきちんとその魅力が盛り込まれています。ガイドブックではあまり紹介されていないスポットはもちろん、必ず紹介されているような定番スポットも、ひと味違った魅力が感じられて、とても行ってみたくなりますよ。

各カテゴリーの間には花街についてのコラムもあります。菊乃さんが舞妓になった経緯や芸妓さんとしての活動など。花街のことがメインの本ではないのでボリュームは少ないですが、存在自体あまり知られていない奈良の花街を、少しだけ垣間見ることのできる貴重なテキストです。

おもしろいなあと思ったのは、菊乃さんが舞妓から芸妓になるときのエピソード。「旦那さんが付かない人は白い紋付きで店出し(襟替え)する」という記述。やっぱり花街ごとにいろいろなしきたりがあるんですね〜。白の紋付きがどんな感じなのか見てみたいです。写真が載っていなくて残念(>_<)

写真もたくさん掲載されているので、ビジュアル的なイメージもちゃんと補うことができます。ただ小さい本にたくさん載っているせいか、一枚一枚が小さいのがとても残念。もっと大きいので見たいステキな写真がたくさんあるのですが。もちろん菊乃さんの芸妓姿も載っていますよ。

奈良は一度だけ訪れたことがありますが、ぜひ、この本片手に紹介されているスポットを訪れてみたいです。個人的には「うつくしいもん」で紹介されているスポットがかなり気になっています。もちろん花街元林院も!





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タグ:奈良元林院
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2011年06月05日

置屋物語 -花街を彩った人々-

こちらの本の舞台は福島県飯坂温泉。叔母の営む置屋に養子に入った筆者が、そこに籍を置いていた芸者さんたちを中心に、当時の花街や芸者さんたちの生活、生き方などを描いた本です。

時代は昭和初期から30年代くらいにかけての、芸者さんが一番華やかだった時代。地方の温泉地とはいえ、東京をはじめ様々な場所からお客さんが訪れては、芸者をあげて遊んでいたことがわかります。

さて登場する芸者さんたちですが、年齢も性格も芸者になった経緯も実に様々。そんな彼女たちの置屋での生活ぶり、お座敷でのこと、旦那との関係など、これまたそれぞれの個性豊かに描かれています。

芸者になりたくてなった人、売られてきた人、しっかり者で芸にも熱心な人、とにかくだらしない人。旦那と一生添い遂げる人もいれば、芸者の方から別れてしまう人、正妻になっても「奥さん」がつとまらなくて結局芸者に戻ってしまう人。芸者さんがいればその数だけ異なる生き方、エピソードがあるんだなあと改めて思いますが、当時の花街、芸者さんのことがかいま見えるとてもおもしろい内容です。写真も多数掲載されていますので、視覚的にも当時の芸者さんの姿を知ることができます。

本書の筆者ですが、養子とはいえ置屋の跡取りとして入ったわけではなく、また男性ということもあって、芸者や女将といった「当事者」とはまた違った視点からこの世界が見えていたのだと思います。かといってまったく外部の人間でもないから、中のこともある程度は見えているわけで。きれいなことも、そうでないことも。芸者たちの表の顔と裏の顔とのギャップや、女所帯のがさつさや(笑)。

だから変に入れ込みすぎたり、幻想をふくらませたりすることもなく、「当事者」ではないから必要以上に繕うこともなく、でも「身内」に対する親しみと情にあふれる文章は決して嫌みがなく。

筆者の置かれた特殊なポジションが生んだ距離感が、他の花街関連本とは異なる独特な雰囲気を生んでいるのだと思います。とにかく読みやすく、内容も興味深いものです。また一つ、別な視点から花街を見ることのできる本と言えるのではないでしょうか。




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タグ:飯坂温泉
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2010年01月17日

廓のおんな

金沢、東の廓で芸者、そして置屋の女将として生きた山口きぬさんの生涯を書いたノンフィクション作品です。

作者がきぬさんに聞き取りしたものを元にまとめているようですが、学術書のような堅さはなく、小説のように読みやすいです。全編に流れる金沢の街の風景、四季の情緒、登場人物の話す「なまり」が、全体に文学的な美しさを与えているような気がします。

もちろんきぬさんの人生もまた、小説のように劇的です。明治の代に身売りで廓にやってきて芸者になり、水揚げ、売れっ子芸者としての日々、旦那のある身で廓を飛び出し、恋人の元に走って京都で素人としての生活、やがてまた廓に戻って置屋の女将としての再スタート‥。

こうして並べ立てるとずいぶん激しい感じがしますが、先にも書いた、文章全体から受ける印象のせいか、決して扇情的な感じはありません。しかしそこからは、廓に生きる女性の哀愁、そして強さが伝わってきます。今の時代とは違う部分も多いとは思いますが、「廓で生きる」ということの一つの形を、きぬさんの人生に見ることができると言えるのではないでしょうか。

本の中には、置屋の女将、娼妓、置屋に住み込むお手伝いさんの女性、仕込みの女の子と、芸者以外にも廓に生きる様々な女性が登場します。明治から大正、戦争を経て戦後の新しい時代と、きぬさんの人生を通して、こうした廓に生きる様々な女性たちの生き方や、その変化も見ることができます。時代とともに変わりゆく廓と、そこに生きる女性たちの姿も見所の一つです。

廓の文化や風俗、様々な習慣、そこに生きる人たちの考え方や生き方、色々なものが詰まっています。単純に当時の廓の様子や風俗を知る上でもよい資料になりますし、一人の女性の一代記として読んでも十分におもしろいです。そして金沢の街の美しさ‥。読んでいると、行ってみたい思いが募ります。金沢に限らず、花街の文化に興味がある方なら読んで損はない一冊だと思います。



※文庫版もあります 廓のおんな (朝日文庫)

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タグ:金沢
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2009年11月02日

お座敷遊び 浅草花街 芸者の粋をどう愉しむか

またまた浅原須美さんの本になります。浅草花柳界の歴史、芸者さんの語る浅草花柳界の今昔、現代の浅草花柳界、「箱屋」千葉さんのインタビューと、浅草花柳界についてたっぷりかかれた1冊です。

もちろん最後には、実際に花柳界で遊ぶ方法も段階別に書かれています。(浅原さんの本の好きなところは、必ずこの実践編があることです)

「花柳界入門」「東京六花街」が写真中心なのに比べ、こちらは文章メインです。内容は十分に読み応えがありますので、写真だけではなくもっと詳しく花柳界のことを知りたいという人にはオススメです。



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タグ:浅草
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2009年10月10日

芸者―ライザと先斗町の女たち

アメリカ人の女性文化人類学者が書いた、日本の芸者についての本です。タイトルに先斗町と書いてありますが、東京の花柳界や熱海の温泉地の芸者さんについても取り上げています。

内容は「芸者」というものの、その社会的意義・存在価値といったものについて考察するというものです。この手の本には割と定番の、花街の行事やしきたり、服飾文化などについてはほとんど書かれていませんので、そういうことを知りたい人は他の本を。

著者自身三味線をたしなみ、「市菊」の名で芸妓として先斗町のお座敷に出、そうした体験を通して書かれたこの本は、外部の人間が書いた物とも内部の人間が書いた物とも趣の異なる、なかなか興味深い内容です。

時代的には昭和40年代くらいの花柳界の様子になるかと思いますが、エピソードにはそれほど今との違いを感じません。花街に馴染みのない女の子が憧れから芸者になりたいと思い、実際になる人・ならない人両方の姿が描かれていたり、昔ながらのおねえさんが今時の若い芸者の姿を嘆いたり‥‥。

学者さんの書いた本と言っても、学術書のような固い内容ではなく読みやすい文章なので、おもしろく読めると思います。



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