2010年03月10日

祇園 女の王国―紅殻格子のうちとそと

祇園新橋にある甘味処「ぎをん小森」。こちらのお店が元はお茶屋さんの建物というのは、ガイドブックなどの紹介で皆さんよく知るところかと思います。その小森が、祇園のお茶屋「小森」であった頃を、その女将の小森友恵さんを中心に書かれたノンフィクションです。

友恵さん本人についてはもちろん、芸舞妓、お客さん、お茶屋の人々、そのほか花街に携わる様々な人々のエピソードが、小森や友恵さんとの関係を通じて紹介されていきます。そこからは、なかなかわかりにくい花街のしくみや「お茶屋」の役割、芸舞妓の生活やお茶屋との関係、また時代とともに変わりゆく花街の様子など、「一見さんお断り」の言葉に代表される独特の世界の一端をうかがうことが出来ます。

花街に関する予備知識が特になくても、読みやすくおもしろい内容の本です。実際に「ぎをん小森」に行くのなら、ぜひ併せて読んでみてはいかがでしょう。

なお書かれている時代は、小森創生期の戦中・戦後あたりからで、「現在」として書かれているのがだいたい1980年代。当時の舞妓さんの名前もそのまま登場するので、その頃の写真集を併せて見るとまたおもしろいのではないでしょうか。

※ブログ内にある関連写真集の記事はトラックバックを参照してください。



祇園 女の王国―紅殻格子のうちとそと※Amazonモバイルサイトへ
続きを読む
タグ:祇園甲部
posted by ぷにすけ | TrackBack(1) | 京都花街の本

2010年01月19日

中国56民族手帖

中国に住む56民族の女性の衣装を紹介した本です。表紙に見えるように、すべてイラストで紹介されています。

まず56もの異なる民族が暮らしていることにびっくりしました。中国には少数民族を含め、たくさんの民族が暮らしていることは知っていましたが、数字を見ると改めて驚きです。

また国が大きいので、近接する国も気候風土も多様。北方に住む民族と南方に住む民族では衣装の雰囲気が全く違いますし、西方に住む民族の衣装にはどこかヨーロッパの雰囲気を感じます。

衣装だけでなく、食文化や住居、生活習慣なども簡単に紹介されていて、この+αの情報も楽しいです。

全編イラストなので、実際にはどんな感じなのかとか、布の素材や質感はどうなんだろうとか、髪を結い上げた民族の場合はどんな髪型なんだろうとか、いろいろ興味はつきません。顔立ちなんかも民族によっては結構違うはずなので、写真も見たかったなあと言うのが正直なところです。でも、各民族衣装をいろいろと見比べるのはとにかく楽しいです。リアルなイラストではないのですが、衣装ごとの特徴はわかりやすいですしね。(写真は、より専門的な民族学の本をさがすといいのかもしれません。)

各民族とも衣装に1ページ・紹介文に1ページと2ページ完結。かわいらしいイラストに、文章もライトで、気軽に手に取れる作りになっています。絵本のように楽しんでもいいですし、中国の様々な民族について知るきっかけとしてもおもしろい本だと思います。



中国56民族手帖※Amazonモバイルサイトへ
以下余談ですが‥
posted by ぷにすけ | TrackBack(0) | 服飾文化についての本

2010年01月17日

廓のおんな

金沢、東の廓で芸者、そして置屋の女将として生きた山口きぬさんの生涯を書いたノンフィクション作品です。

作者がきぬさんに聞き取りしたものを元にまとめているようですが、学術書のような堅さはなく、小説のように読みやすいです。全編に流れる金沢の街の風景、四季の情緒、登場人物の話す「なまり」が、全体に文学的な美しさを与えているような気がします。

もちろんきぬさんの人生もまた、小説のように劇的です。明治の代に身売りで廓にやってきて芸者になり、水揚げ、売れっ子芸者としての日々、旦那のある身で廓を飛び出し、恋人の元に走って京都で素人としての生活、やがてまた廓に戻って置屋の女将としての再スタート‥。

こうして並べ立てるとずいぶん激しい感じがしますが、先にも書いた、文章全体から受ける印象のせいか、決して扇情的な感じはありません。しかしそこからは、廓に生きる女性の哀愁、そして強さが伝わってきます。今の時代とは違う部分も多いとは思いますが、「廓で生きる」ということの一つの形を、きぬさんの人生に見ることができると言えるのではないでしょうか。

本の中には、置屋の女将、娼妓、置屋に住み込むお手伝いさんの女性、仕込みの女の子と、芸者以外にも廓に生きる様々な女性が登場します。明治から大正、戦争を経て戦後の新しい時代と、きぬさんの人生を通して、こうした廓に生きる様々な女性たちの生き方や、その変化も見ることができます。時代とともに変わりゆく廓と、そこに生きる女性たちの姿も見所の一つです。

廓の文化や風俗、様々な習慣、そこに生きる人たちの考え方や生き方、色々なものが詰まっています。単純に当時の廓の様子や風俗を知る上でもよい資料になりますし、一人の女性の一代記として読んでも十分におもしろいです。そして金沢の街の美しさ‥。読んでいると、行ってみたい思いが募ります。金沢に限らず、花街の文化に興味がある方なら読んで損はない一冊だと思います。



※文庫版もあります 廓のおんな (朝日文庫)

廓のおんな (1980年) / 廓のおんな (朝日文庫)※Amazonモバイルサイトへ

タグ:金沢
posted by ぷにすけ | TrackBack(0) | 京都以外の花街の本

2010年01月10日

ギオンコーナー

舞妓さんの京舞をはじめ、文楽や狂言など様々な日本の伝統芸能をダイジェストで楽しめるスポットです。

英語での解説もあり海外からの観光客さんが多いですが、日本人でも触れる機会の少ない世界ですので新鮮な気持ちで楽しめます。舞台公演スタイルなので、舞妓さんとの距離は若干遠目ですが、本物の舞妓さんを確実に見られるという点でおすすめです。

時間帯が夜なので、空いた時間を有効に使える点もポイント。定期観光バスのコースにもなっていますので、そちらと組み合わせてもいいかもしれません。

玄関ロビーには花街文化を紹介する映像とともに、舞妓さんのかんざしや髪型のカツラなどが展示されています。こちらもおもしろいですよ。
※玄関ロビーは入館料を払わなくても入れるエリアなので、気軽に足を運べます

ギオンコーナー(「おおきに財団Website」へ)

続きを読む
posted by ぷにすけ | TrackBack(0) | 舞妓さんに会いたい!

2010年01月05日

つまみかんざし三代―世の変遷を生き抜いて……

東京で、三代に渡ってつまみかんざし職人としてかんざしを作り続けている石田さん親子による著書。つまみかんざし職人の昭和史と活動の記録、そして美しい作品の数々が写真で紹介されています。

それぞれの季節を表現した美しいかんざしや櫛は、やっぱり見ていて幸せな気持ちになりますね。色遣いもデザインもよく見る舞妓さんの花かんざしとは趣が異なり、それらを見慣れた方には新鮮なのではないでしょうか。

時代と共に変わっていく職人の置かれた状況と、一方で変わらぬ仕事に対する心意気、時代の変化に対して精力的に活動されている様子がこの本から伝わってきます。文化を支える裏方である職人さんの目線から見ると、また違った角度から日本の文化や歴史が見えてくるような気がします。「つまみかんざし」を通して、日本の職人文化の一端を知ることのできる一冊ともいえそうです。


※一般書店での購入は難しそうです。古書店か図書館で。
 文 :石田健次 石田毅司
 写真:秋山庄太郎
 発行:下町タイムス社
 発行年:1991年
 サイズ:15p×22p
 本文:170ページ
 価格:\2,300

※つまみかんざし博物館では実際に作品を見ることができます。
 公式サイトへ 展示会や教室開催の情報なども注目です
 



posted by ぷにすけ | TrackBack(1) | 服飾文化についての本